神戸の元町駅周辺で、夕方以降の時間帯、路上で簡易机の上に易占いと書かれた行灯に灯りを照らしてじっと机に座って駅の出口から鑑定の客を待っている占い師がいたんです。
年の頃はおそらく中年と言われる世代のような雰囲気の男性。
黒いサングラスをかけて風貌は烏帽子のような帽子をつけて紺色か黒っぽい作務衣のような服装。
ミステリアスな演出を故意にしていたとしか思えない見るからに胡散臭くて占い師を装っているように見えて私にとっては不気味な存在感。
ですから、会社から帰宅する際には駅の出口から、机に座っている中年男性占い師の前を通り過ぎるときは、常に早歩き。
絶対に占いに興味を有るそぶりも見せずに素通りを決め込んでいました。
ところが、あるとき、いつものように、駅から占い師が机に座っている路上店舗前をそそくさと逃げる様に通り過ぎようとしたら、突然、占い師が「ちょっとアナタ、タダで鑑定するよ、アナタ大変な問題が起こってるでしょ。
解決策教えてあげる。」
と私が逃げる様に座上で広げられている占い店舗歩き去ろうとした瞬間に声をかけられたのです。
一瞬不気味には思いましたが、「タダで」という言葉と「大変なことが起こっている」という言葉につられて、思わず鑑定を受けることになりました。
その時の私の心内では、だれでも生きていれば大変なことは起こっているし悩みもあるから、それは脅し文句で営業的なセリフだけど。
それに無料で占って鑑定料取られたらどうしよう。
詐欺だったら。
という疑心暗鬼でいっぱいだったのですが、駅付近に交番の存在があったので、何かあったら、交番に駆け込むつもりで。
恐る恐る占い師の前に座って、対面で鑑定を受けることに。
で初めは、占い師から、名前と生年月日を教えてと言われて・・・。
なぜかそのとき私は試すつもりで名前は本当で嘘の生年月日を伝えると、占い師は、「あなたの持っている気性ではその生年月日には珍しい。」となぜか私の目に自分の裸眼が分かるようにサングラスを少しずらして覗き込むように言ってきたのです。
そのとき、あまりにもびっくりして、生年月日のウソがなぜかバレたと、観念して本当の生年月日を言うと、今度は納得したように、じゃあ鑑定しますね。
と、なぜかじっと私の目を真正面からサングラス越しに顔をまじまじと見つめるだけ。
そういえば、この占い師良く見ると机上には行灯以外、鑑定に必要な、占いの教本などは持っておらず、手に数珠を持っているだけ。
生年月日と名前を書くためや鑑定結果をメモするだけの、雑記帳のようなものを置いているだけの様子。
本当に鑑定できるのかな。
といぶかし気に私は占い師の相手の顔をじっと見つめていると。
占い師は真正面で私の顔をまじまじと見つめながら、数珠を挟んで手を合わせて何やらブツブツとお経のような文言を唱えて。
その時間大体５分程度。
そして黙って占い師は数珠をこすり合わせるのを止める「ハイ」と呟いて数珠を机に置いてから鑑定結果をぼそぼそと伝えてくれました。
それは、「今あなたの守護神に聞きました。
今起こっている問題はまずは恋愛のこと、彼氏とのケンカしていて連絡を取れないのはあなたから謝る必要はありません。
そのうち連絡が2～3日後に有ります。
それより問題は仕事のこと、あなたが上司として敬意を持っている相手は失敗をあなたになすり付けようとしている。
だから、それを回避するために、あなたが良く行く神社、おそらくこの近くにある場所の本殿に、仕事場の住所を言って助けて下さい。
とお願いをしてみて下さい。必ず解決します。」
と言われたんです。
もうめちゃくちゃ驚きました。
なぜなら全てその通りだったから。
恋愛も彼氏とケンカ中であったし、仕事場でのトラブルも実は信頼していた上司がミスした書類を私が作成したように見せかけようとしていたし。
そこで、言われた通りに行動をすることに。
しかも神社に私が行くことも知っていたことも驚いていたのですが、とりあえず、神社の本殿で仕事場の住所を言って、神様お助け下さい。
と手を合わせました。
そうしたら数日後、仕事場で上司が今まで、部下に頼んで書類を作成させて正確な書類は自分の手柄と社長に報告し、ミスのある書類は部下が作成していたことが判明。
それは部下全員に行っていたらしく、1人が社長に内部告発して発覚。
上司は降格することに。
占い師が言った通りになって、しかも、ケンカ中の彼からも謝ってもらったりと連絡が有り。
もう驚きの連続。
で今度は有料で見てもらおうと、日を改めて、仕事帰りに帰宅して駅の出口付近を探してみたのですが、その占い師の姿はなく、机もなく。
それ以降、全く駅付近に現われなくなったんです。
今でも路上に現れないかなと占いの看板を見るとその占い師の姿を探してしまいます。
鑑定は当たるし問題を解決してくれたのに感謝も伝えられず残念です。
